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水滸伝  ★★☆☆☆

横山光輝さんのマンガ、

水滸伝

を読み終えました。

 

評価は、星2つです。

 

Yahoo!プレミアム会員に加入している私は、

人気作品イッキ読み! - Yahoo!ブックストア

というサービスが受けられるらしく、

 

週替わりで人気の?マンガを

電子書籍として楽しめる恩恵にあずかっております。

 

マンガといえども、

何十巻もあるものは読むのに時間と根気が要るので、

ほどよく興味があって数冊で終わるものがあがっているときのみ、

このサービスを利用しています。

 

今週は横山さんの『水滸伝』があがっていて、

全8巻という程良い分量だったために、

思わず手をつけてしまいました。

 

▽内容:

今から約九百年前、中国は大宋国。疫病の大流行に時の皇帝は疫病退散の祈祷の使者を竜虎山に送った。しかし使者はあやまって伏魔殿の扉を開け、腐敗した世の乱れを嘆く百八の英雄を目覚めさせてしまうのであった。志を同じくし山賊・梁山泊に集った百八人の猛者がおりなす壮大なストーリー!

 

調べてみると、

なんといまから40年以上前に雑誌に連載された少年マンガらしく、

横山さんのマンガ作品のなかでは、

中国歴史モノの第一作目になるそうです。

 

そもそも水滸伝とは、

三国志』『西遊記』『紅楼夢』と並ぶ中国四大名著の1つで、

伝奇小説として世に送りだされたのは明の時代だとか。

 

時は(北)宋(960年 ~ 1127年)末期、

汚職管理や不正がはびこる腐った世の中をかえようと、

世間からはじきだされた漢(オトコ)たちが立ち上がり、

梁山泊という天然の要塞に次々と集まってきて、

悪徳官吏や外敵から国を救うようになる!

というストーリーです。

 

物語は、

皇帝のお使いが禁忌のパンドラの箱をあけてしまって

108の英雄を目覚めさせてしまう、

というプロローグから始まるのですが、

 

その108の英雄こそ

腐りきった世の中をかえようと

梁山泊に集まってきたヒーローたちだった

というオチです。

 

どうやら完全なる実話ではないようですが、

12世紀はじめに宋江率いる36人の志士たちが

梁山泊付近で反乱をおこしたのは史実らしく、

物語ではその数が3倍の108人に膨れ上がっているのは、

フィクションならではの「数のインパクト」というところでしょうか。

 

横山さんがなぜこれをマンガにしたのかはわかりませんが、

少年漫画という立ち位置から、

実際の伝奇と比べると残虐的な描写や性的な描写は

ほとんど削られているとか。

 

私自身は、横山さんの作品は、

あの大作・『三国志』をパラパラと読んだことがあるくらいで、

彼の生い立ちやご経歴は何も知らなかったのですが、

 

これまた調べてみると、

いろいろと「へぇ~」という部分が出てきました。

 

・神戸ご出身

・高校卒業後、いったんは地元の銀行に就職するも、マンガを描く時間がないということで退職

手塚治虫に影響を受けて漫画家を志し、手塚治虫と一緒に仕事もして認められる

・大作『三国志』は全60巻、15年をかけて制作

 

10年前(2004年)にお亡くなりになられていますが、

生前のお写真をさがしてみると、こんな方でした。

 

生粋のヘビースモーカーだったらしく、

寝たばこの火の不始末で火災を起こしてお亡くなりになられたとか。

 

たしかに、

この写真みると、

いかにも「たばこ好き」って感じがしますね。

 

さて、

この『水滸伝』、

1~7巻で実は完結していて、8巻は外伝になっています。

本編に収録しきれなかった英雄の3人が、

この外伝のほうで描かれています。

 

8巻に最初に登場するのは、

武松(ぶしょう)という人物で、

彼は兄の敵をうつべく、

兄嫁で淫婦の金連と

その金連と姦通していた薬の豪商・西門慶を殺害します。

 

復讐後は官職を退いて梁山泊に赴くわけですが、

この武松の話、

おなじく明の時代に書かれた『金瓶梅』という小説に描かれているようで、

 

この『金瓶梅』という小説の立ち位置そのものが、

水滸伝』の外伝にあたるのだとか。

 

そんなトリビアはどうでもいいとして、

横山さんのマンガの特徴は、ひとことでいうと質実剛健

ヘタに飾り気がなくてシンプルでいい。

 

この『水滸伝』のタッチも、

まさにそんな感じでした。

 

そして、

時代劇や歴史漫画あるあるですが、

勧善懲悪だから読んでいてスカッとします。

いつの時代も正義は勝って、やっぱり悪は滅びるんだな、と。

その期待が裏切られないからいい。

 

一方で、

ネガティブ意見としては、

よほど特徴がない限り、どの武将も同じ顔に見える。

 

そして、

中国歴史ものだからかもしれませんが、

登場人物が多いだけに、誰が誰だかわからなくなる。

 

あの『三国志』も、

小説で読んでいても次から次へといろんな人物が出てきて

いちいち覚えてられませんでしたが、

それが絵になると逆にまた困惑するのです。

 

コイツ、誰だったっけ?どっちだったっけ?

と。

 

あと、

実際の小説の方では、

もっとドロドロした権力闘争があったり、

男女の駆け引きなんかもあったりするようですが、

少年向けに「こぎれいに」描かれすぎているのが

読んでいてちょっとつまらなかったです。

(↑これは、あくまで腐った大人の意見です)

 

ロードムービー的に見るぶんにはそこそこ楽しめますが、

(わたし個人としては)

特にこれといって新たな発見はありませんでした。

 

また、

これは横山さんのマンガに限ったことではないのですが、

中国の歴史小説やマンガを読んでいると、

やたら「義兄弟の契り」とか「義侠心」といった言葉が出てきます。

 

思うに、

中国の当時の思想(道教儒教?)に関係するところも多々あるのかと想像されますが、

この義理を尊ぶ文化は、

実はいまだに中国に残っているのではないかと思いました。

 

中国(人)といえば、

ビジネスの世界で信じるのはカネと家族だけと言われますし、

せこい・がめつい・自分勝手というイメージがつきまといますが、

 

彼らと渡り歩こうとしたら、

短期的にはやっぱり「カネ」なんでしょうけれど、

長期的には信頼が勝つ部分もあるんじゃないかと思って。

 

だって、

中国何千年かの歴史(物語)がいまだに広く読み伝えられていて、

こんなに義だのなんだのってもてはやされているわけでしょう?

 

彼らのなかで、

そういう「義を尊ぶ精神」みたいなものは、

少なからず遺伝しているんじゃないかと思ったりもするのです。

 

以前読んだ、

『千年、働いてきました』という本のなかで、

中国林業界の有力者が放った、

こんな一言が紹介されていました。

 

「(日本は)このビジネスを中国でやりたいから、(中国で)これを取ってきてほしいとか、そういう話ばかりしている。ドイツは教育を重視していて、中国で人を育てようとしてくれる。日本のようなやり方で、これから本当に一緒にやっていけるのだろうか」

 

そして、その中国で、

実際にビジネスで成功した日本人経営者についても、

そのコメントと一緒に紹介しています。

 

 「日本では、まずえらい人のほうと握手しますよね。でも、中国の人は自分にとって重要な人と先に握手をするんです。(中略)日本の社会というのは、基本的にバッジとか名刺とかの肩書きを重視しますが、中国社会では、そういうもので人を見ていない。中身で人を見るところがあります」

 中国で植林のような事業をすると、しばしば同様の体験をするそうだ。カネでは動かない。志で動く。そんな中国人に出会うのだという。

 

儒教五常思想のなかに、

「義」という言葉がありますが、

人間の欲望を追求する「利」と対立する概念として位置づけられた、

「人としての正しい行い(道)」だそうです。

 

つまり、

中国人は大昔から、

カネとは対称的なものを大事にしろと

ある程度言われてきているハズなのではないかと思うのです。

 

ものすごい当たり前のハナシですが、

日本人だって「義理堅い」なんて言われながらも、

結局、カネがすべてだったりするし、

そうでないところ(人)もいるように、

中国人だって「カネにうるさい」なんて言われながらも、

そうじゃない人だっているわけで。

 

日本は綺麗に見せるのがうまいけれど、中国はヘタ。

だから「がめつい」とか「あくどい」とか言われやすいけれど、

日本だって中国ほどあからさまではないだけで、

根本は「がめつい」し「あくどい」と思います。

 

そうだよっていう例もいくらでも挙げられるし、

そうじゃないよっていう例もいくらでも挙げられる。

結局、そんなもんです。

 

国民の特徴なんて、

それこそ『バカの壁』じゃないけれど、

本当は一元論的に即断できるものではないと思います。

 

この『水滸伝』でも、

梁山泊に集まってきた英雄たちは、

いずれも義を尊ぶ精神の持ち主だった!

というふうに描かれています。

 

私は印象に残った人物は、

実はあまりいないのですが(みんな同じように見える…)、

強いて言えば王進ですかね。

 

王進は、

最初に登場した禁軍80万の師範(総大将?)で、

悪徳官吏の高俅を過去逮捕したことがきっかけとなって、

職を辞し、都落ちした人物なのですが、

 

都落ちする途中で、

のちの梁山泊志士のひとり、

史進に武術を伝授します。

 

立派に史進を育てたあと、

王進は史進の家に迷惑がかかるのはイヤだから、と

延安にむかって去って行ったのですが、

このマンガのなかでは、

その後の消息は不明となっていました。

 

最初に出てきた人物でありながら、

消息不明かよ?!

みたいなインパクトが強くて、

それで印象に残ってしまっただけです。笑

 

あとは戴宗(たいそう)の神行法とかいう早駆技(はやわざ)。

人並み外れた速さで走ることができる術を心得ていて、

一日に八百里を駆け抜けるとか。

 

八百里ってなんぼのもんじゃい?

と調べてみたら、

なんと300kmだとか。

 

東京から半径300kmといえば、

金沢とか仙台とかくらいだから、

それを1日で走るなんてスゴイ。

(ありえませんが…)

 

小学生くらいでこのマンガに出会っていたら、

こんなことイチイチ考えもせずに、

もっと純粋にワクワクして読めたと思います。笑

 

■まとめ:

横山光輝による、中国歴史マンガの第一作目。質実剛健なタッチで、勧善懲悪だから、安心して読める。

・登場人物が多くて、顔が似ているため、誰が誰だかわからなくなる。

・わたし個人としては、物語からは特に新しい発見がなかったのが残念。数々の権謀術数合戦や妖術なども頻繁に出てくるので、10代だったらワクワクして読めそう。

 

■カテゴリー:

マンガ

 

■評価:

★★☆☆☆

 

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