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他人と深く関わらずに生きるには  ★★★★★

久しぶりに、

エッジの利いた評論家にめぐりあいました。

 

池田清彦(いけだ きよひこ)氏。

 

今年で御年67歳となる生物学者の方です。

 

筑波大から都立大の院を経て、

山梨大学教育人間科学部教授、

2004年から早稲田大学で教鞭をとっておられます。

 

本業は生物学、つまり理系の研究者の方なんですが、

生物学の見地から多分野にわたって評論活動もなされているようで、

 

全く気づかなかったのですが、

彼もまた、

「ホンマでっか?!TV」に出演されているみたいです。

 

 

最近、いろいろなメディアに登場しているようで、

お恥ずかしながら、

ここまで有名な方だとは知りませんでした。

 

この本を読了したときは、

隠れた逸材

(…というと上から目線な感じがするので)

斬新な師匠

を見つけたような気持ちでいたのですが、

 

そのあと興味がありあまって

ご経歴や彼のその他の本を検索していたら、

実は結構、著名人?!

ということがわかりました。(汗)

 

「ホンマでっか?!TV」は、

好きな番組の1つなのでわりとよく見ていたのですが、

池田先生は、正直、ノーマークでした。

 

森博嗣さん(工学博士)などもそうですが、

理系の先生が語る人生論って、結構おもしろい!

 

「のび太」という生き方 ★★☆☆☆ - pole_poleのブログ

 

のなかでも少し触れましたが、

 

いかにも文系の王道で、

人々の感性に問いかけるのが上手な人生論や、

やたらポジティブな発言しかしないような啓発本、

ありきたりの道徳を説いているような本は、

 

どうも私は苦手で、

 

世間や常識というものに対して、真正面からぶった切る

ような意見が大好きです。

 

常識的に考えて、なかなか行動には出せないけれど、

こういう意見はすごく好き!

…という方って、けっこう多いと思うのですが、

 

私自身は、わりと行動にも出てしまうタイプで、

会社の飲み会はほとんど行きませんし、

冠婚葬祭も真っ向から断るほうです。

 

常識的に考えたら、ありえないというのはわかっているんですが、

どうして常識に従わないといけないのだろうと反発してしまう、

いわゆる「ひねくれ者」。

 

もちろん、

毎回、常識に拮抗しているわけではなく、

常識にのっとったほうがスムーズにいくので、

日常生活のなかでは甘んじて受け入れ、

その恩恵を多分に受けているところも大いにあります。

 

でも、

常識とか世間体なんて死ねばいいのに

という黒い部分の占有率は、

人より多いと思います。

 

ただ、

こういう立場をとる場合には、

理系のバリバリの先生とかが意見を述べられたほうが、

遠まわしな言い方をしないからなのか、

下手に感情的ではなく論理的だからなのか、

わりとわかりやすく入っていくような気がします。

 

私の中で、

池田清彦の登場は、

森博嗣につぐ、新たな人生の師匠が現れたような感じでした。

そのくらい衝撃を受けました。

 

そもそも、

私もあまり人間関係は好きなほうではなくて、

できれば他人とあまり深く関わらずに生きていきたいと思っているタイプです。

 

したがって、

友人・知人は決して多くありませんが、

私はそのことに全く不満はありません。

むしろ、とても満足しています。

 

どうもこの世の中、

社交的であるほうが非社交的よりも称賛される雰囲気がありますし、

逆にいえば、

非社交的な人は欠陥人間かのごとくレッテルを貼られる雰囲気があります。

 

別に非社交的な人でも、

口先だけうまくて、税金をむしりとる悪徳政治家より、

よっぽどマシだと思うのですが、

 

いつのまにか、

私たちの脳みそは、

「社会に出れば、社交的でなければいけない」

という暗黙の了解に支配されています。

 

たとえばそれは、

「一年生になったら」の唄でもおなじみの、

あの歌詞のように、

 

一年生になったら

一年生になったら

ともだち100人 できるかな

100人で 食べたいな

富士山の上で おにぎりを

パックン パックン パックンと

 

「友達は100人いたほうがいい」

「友達は多いほうがいい」

と、

小さい頃から知らないうちに意識の下に刷り込まれていて、

 

これぞ、著者のいうところの、

国家によるパターナリズム

のようなものじゃないかと思ったりもします。

 

「本当に友達100人必要ですか?」

「友達なんて一人いれば十分なのでは?」

…なんてことは、

ほとんどの学校では教えてくれません。

 

友達が何人いようが、

どんな仕事をしていようが、

働こうが働かまいが、

 

社会的人格としてのアイデンティティを承認されない、ということは全然ない

 

わけです。

 

友達も、仕事も、お金も、

たくさん欲しい人はたくさん持っていればいいだけであって、

少ない(持っていない)人は自分がそれで満足ならいいわけで、

外野がそれをいいとか悪いとか言うのは間違っていると思うのです。

 

子供を産まないのは、

少子化という社会問題的にも、道徳的にもおかしいという風潮がありますが、

(逆に、子供を産んだら素晴らしいという考え方ですね)

 

少子化問題を解決するために、

セックスして子づくりする夫婦なんていませんし、

正直、子づくりは大人のエゴだと思います。

 

彼らは好きで子供をつくっているだけでしかなく、

子供を産んだ夫婦が偉くて、

産まない夫婦はダメ、

…なんていう序列は絶対におかしい。

 

小さな子供がいるからといって、

道や店内を堂々と(道を譲らず)闊歩するお母さんがいますが、

あれも嫌いです。

 

好きで産んでいるわけなんだから、

「子供がいるから」(道を譲れない)

というのは、実はおかしな話で。

 

あれは、

「うちの犬が噛んだから知りません」

と言っているのと同じくらいバカだと思っていて、

 

私なんかは、ついつい、

「バカ親め!」と毒づいてしまうことすらあります。

(自分でも情けないですが、本当にそういうことがあります…)

 

 

話がそれましたが、、、

 

この本は、

ふだん私たちが、

なんとなくおかしいと思っていること

を掘り下げて、

 

その解決方法として、

・ひとりひとりが究極の完全個人主義を貫くこと

・その完全個人主義が実行できるシステムを社会が構築していくこと

の2つの策を提示しています。

 

前者が第Ⅰ部、後者が第Ⅱ部の二部構成になっています。

 

前半・後半を通じて言えるのは、

ここまで言い切るか?!

というぶった切り方がすごいです。

 

世間とか人間社会とか一個人に対して、

生物学の見地から学術的に論じるかと思えば、

突然、バカとかアホとか世俗的な罵倒を浴びせ、

個人名も出して思いっきり非難します。(笑)

 

それがもう、

 

そこまで言って大丈夫?!

と、読んでいるこちらがハラハラしたり、

 

うわー、言うねぇ!あっはっは!

と、思わず拍手喝采&笑わずにはいられなかったりで、

 

本当に面白かったです!

 

あまりに面白かったので、

内容を結構メモってしまいました。(笑)

 

なので、

今回のブックレビューは、二部構成でいこうと思います。

前半:感想

後半:メモ (引用)

 

▽ブックメモ(引用)は、こちら

他人と深く関わらずに生きるには ★★★★★ - pole_poleのブログ

 

 

ここからは、

前半(感想)の続きになりますが、

 

現実的にいけるかどうかはさておき、

彼が理想としているのは、とにかく、

完全個人主義がまかりとおる社会

です。

 

簡単に言うと、

まず、一人一人の姿勢として、

個々人がそれぞれやりたいようにやるかわりに、

その責任も自分でとる、他人(社会)には頼らない。

 

逆にいうと、

ひとさまや社会の仕組みに甘えたり、

変に期待なんてしなきゃいい。

そうすればもっと自分の好き勝手に自由にやれるんだよ!

…みたいな感じでした。

 

次に、社会(国家)のスタンスとしては、

国民の自由と生命を尊重するための必要最低限の機能をはたせばよく、

小さな政府になりきること。

 

ポイントはこの2つかと思います。

 

個々人も社会も、

それぞれがそれぞれに距離をおいて、

 

責任をなすりつけたり・つけられたり、

都合の悪い時だけ依存したり・されたり、

見えない権力から搾取したり・されたり、

 そんなことはもうやめようよ。

 

そしてこの世間という、

「得体のしれない怪物」から早く解放されようよ。

 

 みたいな感じですかね。

 

ここまで徹底してぶっちぎれないけれど、

言ってることはごもっともでしたし、

たとえ行動にうつせなくてもこういう考え方はあってもいいんだ

という動機づけになりました。

 

でも、

生きるってやっぱり、大変だなぁ~。

と、つくづくそう思ってしまいました。 

 

■まとめ:

・生物学的根拠を挟みながら、世間や常識を真正面からぶったぎるところが気分爽快。

・ふだんなんとなくおかしいと思っていることを、歯に衣きせずにズバズバ言う。

・他人と深く関わらずに生きるためには、まず他人(社会)に依存したり、変に期待することからやめること。とにかく、求めないこと。

 

■カテゴリ:

自己啓発

 

■評価:

★★★★★

 

▽ペーパー本は、こちら

他人と深く関わらずに生きるには (新潮文庫)

他人と深く関わらずに生きるには (新潮文庫)

 

 

Kindle本は、いまのところ出ていません