ヘウレーカ  ★★☆☆☆

岩明均さんのマンガ

ヘウレーカ

を読みました。

 

評価は、星2つです。

 

岩明均さんといえば、

右手のミギーでおなじみ、

寄生獣』の作者ですが、

 

あの独特の世界観みたいなものは、

この作品には描かれておらず、

そもそも作者は何を主張したいのか、

よくわからないマンガでした。

 

残念。

 

▽内容

紀元前二百余年、天才数学者が超大国・ローマ軍を震撼させた巨大軍事プロジェクトとは!? 古代シチリアを舞台に、一大歴史ロマンが幕あける──!

 

ときは、

紀元前三世紀後半(B.C.219~B.C.201)。

 

舞台は、

第二次ポエニ戦争さなかのシラクサ

ここはシチリア島の東部にあたり、

第一次ポエニ戦争カルタゴの侵攻を受けたギリシア人たちが、

ローマに援軍を要請し、

カルタゴに勝利したローマがここを属州化していました。

 

この劣勢のカルタゴのなかに、

彗星のごとくあらわれたのが、

名将として後世まで語り継がれるハンニバルです。

 

ハンニバルは、

その後もトレビア・トラシメヌス湖畔・カンネーといった、

イタリア各地で戦勝しつづけ、

その名声はピークに達します。

 

当時、シラクサのなかでも、

親ローマ派と親カルタゴ派がおり、

ハンニバルの勢いに乗じた親カルタゴ派が、

ついにローマから離反。

 

このときの親カルタゴ派の中心人物が、

エピキュデスという将校でした。

 

彼は自称「シチリアハンニバル」と名乗っており、

名目的にはシチリアの独立を掲げながら、

カルタゴ寄りに国民を扇動していきます。

 

その裏で、

シラクサに住むローマ人(市民)を連行、

ひそかに虐殺していました。

 

これに対して、

奪還のためローマから派遣された将軍が、

マルクス・クラウディス・マルケルス

シチリア戦だけでなく、

その後もイタリア各地でハンニバルと闘い、

彼は「ローマの剣」と称されていたようです。

 

このマルケルスらの侵攻を食い止めるべく、

シラクサ戦線に大きく貢献したのが、

天才科学者アルキメデスだったそうです。

 

マンガのなかで、

アルキメデスが考案した特殊兵器が次々と登場し、

ローマ軍を殲滅していくさまが描かれているのですが、

これらが史実だった?ことにはビックリ。

 

Wiki先輩を参照すると、

 

戦争中ローマを裏切りハンニバル側についたシチリア島シラクサでは防衛にアルキメデスも参加しており、彼の発明した兵器はマルケッルスらローマ軍に損害を与えた。シラクサ陥落に際してはマルケッルスはアルキメデスは殺すなとの命令を出していたが、彼とは知らなかった配下の兵によって殺されている。アルキメデスは殺される直前まで地面の上に図形を描いて計算をしていたが、1人のローマ兵がこれを踏むと、「わしの図形を踏むな」と叫び、その兵士に殺されてしまった。このとき彼は円周率の計算をしている最中だったといわれる。

 

と記載されていました。

 

まさに、

このことがそのまんまマンガになっていました。

 

アルキメデスといえば、

古代ギリシャの ”King of 理系” って感じですかね。

数学・物理・天文学に長けていて、

偉大な発明家・技術者として後世に名を残しています。

 

有名なところでは、

浮力の原理・円周率の発見とか。

 

昔、理科の実験などでやった、

虫眼鏡を使って太陽光を集め、

その熱量で紙や落ち葉を燃やすというワザがあったと思いますが、

 

 

 

マンガのなかでは、

鏡をつかって敵(ローマ艦隊)に太陽光を集中させ、

帆を燃やして帆船を撃沈させる戦術が描かれています。

 

これは、

主人公のダミッポスくんが考案したように書かれていましたが、

実際は、「アルキメデスの熱光線」と言われ、

アルキメデスが発案したものだったようです。

 

当時、日本は弥生時代?とかで、

やっと稲作が定着して、

鉄やら青銅器やらといった金属がちょいちょい使われ始めた時期なのに、

 

かたや南欧では、

ものすごい発明やものすごい武器がすでに使われていたわけです。

 

すごいよねー。

 

結局、

ローマの名将マルケルスによって、

シラクサは陥落、

偉大なる発明家のアルキメデスも戦死してしまうわけですが、

マルケルスはかつてローマからこの地が離反したことを省みてか、

シラクサの無血制圧を試みた様子。

 

アルキメデスやその家族についても、

殺害しないように指示していたようですが、

ここで間違いが起こってしまった。

 

シラクサ陥落に際してはマルケッルスはシラクサ市民の殺害を兵士達に禁じ、略奪は財産と奴隷に限り、略奪を最小限に抑えようとた。しかしアルキメデスは一人のローマ兵によって殺された。マルケッルスはアルキメデスを殺害した兵を自分の周りから遠ざけたという。

 

物語は、

主人公のダミッポスは戦をきらい、

師(アルキメデス)や恋人(クラウディア)亡きあとのシラクサを離れ、

生まれ故郷であるスパルタに戻る

というところで終わっています。

 

その後、

マルケルスはハンニバルと戦闘を続ける途上で戦死、

ハンニバルも最後はローマに追い詰められて、

自殺(毒殺?)したといわれています。

 

このマンガでよかったのは、

わりと史実に基づいて描かれているということ。

よく調べてうまく物語化しているなーと思いました。

 

岩明均”という先入観さえなければ、

もっと面白く読めたかもしれません。

 

また、

(好き嫌いはあると思いますが)絵が上手なので、

アルキメデスの発明した特殊兵器が、

ドラえもんさながらの軽いノリで登場しつつ、

すさまじい威力を放っているのにも惹きつけられました。

 

逆に、

冒頭でも述べたとおり、

作者が何を狙っていたのかがよくわからない作品でした。

 

アルキメデスの奇妙な発明をスパイスにして、

今はやりの歴史漫画を描きたかったのか?

 

主人公(ダミッポス)を通して、

「住み慣れた街」の「住み慣れた日常」を愛する「ふつうの人々」が、

無駄に命を落としていくことを嘆く、

一種のヒューマンドラマを描きたかったのか?

 

読者の多くは、

寄生獣』の世界を踏まえて、

岩明均という作者をとらえていると思うので、

そうなってくると、

このマンガは歴史の一端を取り上げただけで、

なんだか物足りない感じがするのではないでしょうか。

 

とはいえ、

単純に、古代ローマの歴史を漫画で知りたい!

という人にはおススメできる作品です。

 

■まとめ:

・単純に、古代ローマの歴史をマンガで知りたい人にはおススメできる作品だが、岩明均の独特な作風・オリジナリティの強いストーリーが好きな人には物足りないと思う。

・そもそも、作者が何を主張したいのか・何を狙っているのかがよくわからない。

アルキメデスの特殊兵器が次々と出てきて敵を倒していくところは、面白かった。どうやら史実らしいところがまたビックリ。

 

■カテゴリー:

マンガ

 

■評価:

★★☆☆☆

 

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