自虐の詩  ★★★☆☆

業田良家(ごうだよしいえ)さん著

自虐の詩

を読みました。

 

評価は、星3つです。

 

”日本一泣ける4コマ”として一世を風靡した?

有名な漫画ですが、

 

正直、私は泣けませんでした。

 

今回、文庫版で読みましたが、

文庫版は上下2巻から成っていて、

 

はじめは、

”ちょっと面白い4コマ漫画”

という印象でした。

 

下巻のラストで、

よかったねー幸江さん!(←主人公の女性)

と感動?チックなところは確かにあります。

 

不覚にも涙が止まらなかった

とか

後半は感動の嵐

というふうに、

巷では大絶賛されているようなのですが、

 

私としては、

感動よりも思わずクス(笑)っとなってしまうほうが

多かったかな。

 

ただ、

読み始めよりも読み終えたときの方が、

深いなぁ~と思ったのは事実です。

 

Amazonレビューで自分に近いのは、

こちらのコメントでしょうか。

 

オビの「日本一泣ける」云々のコピーに期待しすぎました。
「スゴイ」「こうくるか」というのが正直な感想で、心に残る作品ではありますが、泣けはしませんでした。

 

絵のタッチも、

お世辞にも好きとは言えませんでした。

 

まぁ4コマですから、

仕方ありませんが。。。

 

▽内容:

雑誌連載から20年以上読み続けられてきた、「日本一泣ける4コマ」。 日本一不幸な女の、ちょっぴり幸せなラブストーリー。

シリーズ初期は、怒るとすぐにちゃぶ台をひっくり返したり、金をせびるばかりのイサオとそれに従う幸江といった構図のギャグが中心だったが、中期以降幸江の子供時代の回想が増えてくるとしだいにストーリー4コマとなっていき、幸江の小学生編・中学生編を経て最終回に突入していくドラマチックな展開は「泣ける4コマ」として定番になっている。

 

本当に前半は、

ただのヒモでダメ男(イサオ)と、

そんなイサオから離れられないダメ女(幸江)の、

シュールすぎて思わず笑ってしまう4コマに過ぎないのですが、

 

後半からは、

不幸な幸江の生い立ちが描かれはじめ、

登場人物も増えて、

最後は意外な結末が訪れます。

 

とくに、

幸江の中学時代に登場する「熊本さん」。

 

 

熊本さんは

幸江のように、

貧乏で外見にも恵まれず、

性格的にも目立たなくて

まわりから敬遠されている存在ですが、

 

そんな二人だからこそ、

分かり合えたり、助け合ったり、

激しく嫉妬したり、孤独に耐えたりして、

友情を育むことができたわけです。

 

幸江は一発逆転を狙って上京しますが、

シャブに溺れ、

水商売で日銭を稼ぐ日々。

 

彼女をそんな地獄の日々から救ったのは、

やくざのイサオでした。

 

ヤクザ稼業から足をあらって、

幸江と暮らすことになったイサオですが、

その粗暴な性格から、

いつまでたっても職は見つからず、

見つかってもすぐに辞め、

毎日パチンコ・麻雀・競馬に溺れる日々。

 

幸江の稼いできたお金で、

キャバクラに通い、

ダメな友達と飲みに行き、

気に食わないことがあるとすぐちゃぶ台をひっくり返して、

幸江に「出ていけ!」とわめく。

 

一方で、

雨の日も風の日も幸江は働いてイサオを養い、

したたかさとありったけの甲斐性をイサオに注ぎ続けますが、

 

まわりからも自分でも、

あんな男とは離れたほうがいいんじゃないか?

とか

このままで自分はいいのだろうか?

とか

なぜもっと愛してくれないのか?

とか

ときに自信を無くしかけるわけです。

 

母親の顔も知らずに自分は育ってきて、

借金ばかりのダメな父親にいいように使われて、

なんて不幸な生い立ちだろうと思って生きてきた幸江ですが、

 

あるとき、

そんな幸江もイサオの子供を身ごもり、

母親になる覚悟とともに愛情を自覚します。

 

幸江は、

ずっと音信普通だった母に手紙を書きます。

 

そこには、

いままで大変だったけどようやく愛する人に出会えたこと、

母親の愛を知らずに育ってきて、

いままで死にもの狂いで愛情を求め続けてきたことが、

赤裸々につづられていますが、

 

愛するイサオや、

これから生まれてくる赤ん坊に出逢って、

 

かけがえのないものを失うことは、かけがえのないものを真に、そして永遠に手に入れること!

 

と悟ります。

 

ここは深かったなぁ~。

 

さらに、

臨月に入った幸江のもとに、

一本の電話が入ります。

 

それは、

熊本さんからの電話でした。

 

彼女もすでに結婚していて、

子供が一人いるとのこと。

 

東京で是非再会しようという誘いに、

幸江も喜んで東京駅に向かいます。

 

幸江は上京の際に、

熊本さんからもらった餞別を思い出し、

押入の奥から取り出します。

 

ここから、

熊本さんから幸江に餞別をあげる回想シーンが始まるのですが、

多くの人が絶賛するように、

このシーンはめちゃくちゃよかったです。

 

そして、

実際の再会シーンもよかった。

 

いままで自分の人生を、幸か不幸かではかってきたけれど、

彼女は熊本さんと再会して、

いよいよ確信します。

 

幸や不幸はもういい

どちらにも等しく価値がある

人生には明らかに意味がある

 

こうして物語は終わります。

 

いろんな方が述べられているとおり、

この本はいっきに全部読むのが正解だと思います。

 

Amazonレビューでいうと、

私の意見と近いのはコレですかね。

 

上巻だけ読み終わった時点では、敢えてレビューを書こうとは思いませんでした。貧乏夫婦のSM的な悲惨話が延々と繰り返される単調さ。何かというと卓袱台をひっくり返すマンネリオチ。隣のオバちゃんやあさひ屋の主人など脇役の人生模様にドラマ展開の予兆を匂わせるものの、それほどの変化はなく、読むのがチョット飽きてきたくらい。

ところが、、、、下巻まで通読した今、この上巻の長さ全てが意味のあるものだと思えます。読むなら上下通して一気読みがおススメ。

 

残念ながら私は、 

「全てが意味のあるもの」とは思わなかったのですが、

(別にここまでダラダラやらなくてもいいんじゃないか?と思いました)

 

逆に、

よくここまでネタが尽きないなとは思いました。

 

あと、

自分にもあったこういう経験!

まんざらわからなくもないな、この気持ち(立場)

…みたいなシーンが結構あったりもして、

 

「わかるわ~」と、

思わずクスり(笑)となることが多かったです。

 

べつにトイレなんて行きたくもないのに、

連れションで一緒に行って、

便器でおしっこするフリをするシーンとか。


仲間はずれになりたくないという、

思春期の妙な強迫観念。


誰かと一緒じゃないと、

さみしくて仕方ない未熟な弱さ。


あの頃の自分に幸江さんと重なる部分がちょいちょいあって、

共感できました。

 

このマンガは、

2007年に映画化もされているようで、

幸江を中谷美紀さんが、

イサオを阿部寛さんが、

それぞれ演じているそうです。

 

原作にそこまで感動できなかったので、

正直、観ても観なくてもどっちでもいいかな。

という感じですが。

 

もう一回読んだら、

やっぱりじーんと来るのかなぁ?

 

■まとめ:

・日本一泣ける4コマと言われているが、泣けなかったし、そこまで感動しなかった。どちらかと言うと、クスッと笑えることのほうが多かった。

・前半はシュールでニヒル、ある意味単調な面白さが続き、ちょっと飽きてくるが、後半から主人公の生い立ちが回想されてきて、最後は意外な終わり方に。ただの4コマじゃないのは事実。

・幸江と重なる部分が自分にもあって、共感できるし、わかるわかると思わず頷ける一面も。

 

■カテゴリー:

マンガ

 

■評価:

★★★☆☆

 

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