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格付けしあう女たち   ★★☆☆☆

白河桃子さん著

格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』

を読みました。

 

評価は、星2つです。

星1つでもいいかも。。。

 

今回は、ちょっと辛口です。

 

▽内容:

 「八千円のランチに行けるか、行けないか」で「ママカースト」が決まる!?女性の間に生まれる「カースト」の苦しみは、社会的な成功だけでなく「女としての幸せ」というダブルスタンダードで計られることにある。「恋愛・婚活カースト」や「女子大生カースト」、「オフィスカースト」などの「女子カースト」の実態と対処法を探ると共に、そこから見える旧態依然とした会社組織や貧困、シングルマザーなどの日本の課題点に迫る。

 

女性には男性にはない序列づけがあって、

それは普段、

女性たちが何気なく使っている言葉の裏からも垣間見ることができる。

「6千万円のマンションって高くないよね?」

「就職って結局顔セレ(顔で選ばれる)じゃないですか」

 などなど。

 

こうした発言には、

 

さりげなくどっちが上位かを探り、自分の優位性を見せつける行為

 

が込められていて、

これを「マウンティング」と言うそうです。

 

こうやって「マウンティング」することで、

他人を格付けするわけですが、

 

「女同士で格付けしあう」のは「否定されたくない」という守りの気持ちから。

 

と著者は述べています。 

 

では、

彼女たちの「否定されたくない」という守りの気持ちは、

どこからやってくるのか?

何が原因なのか?

 

現代社会においては、

 

日本の社会が、画一的な価値観によって縛られていた状態から、多様性のある社会に移行しつつある

 

という状況で、

何が正しいのか、何が幸せなのか、

わからなくなっています。

 

価値観は多様化しているけれど、

(逆に多様化しているからこそ、すがるものがなくて)

相変わらず昔ながらの価値基準に左右されてしまう。

 

とくに女性は、

社会的な成功だけでなく、

「女としての幸せ」でも計られるから、

余計に複雑。

 

このダブルスタンダードに支配され、

あるいは自ら駆使して、

ときに旧態依然とした「昭和的な幸せ」にすがったりして、

いたずらに格付けしあうことで、

自らを守る

というわけです。

 

著者はそれを

こんなふうに喩えていました。

 

今はみんなが自由の荒野で迷子になっているからこそ、どちらが幸せかを見せつける「幸せマウンティング」が起きてしまう

 

これは、

たしかにその通りかもなと思います。

 

ただ、

のちに著者は、

 

「女は自分の生き方を否定できない」

 

と述べていて、

それが他人からも「否定されたくない」という守りの気持ちをかきたて、

「女同士で格付けしあう」のだとか。

 

これは違うと思う。

というか、暴論すぎる。

 

女だろうが男だろうが、

誰だって自分の生き方を否定なんぞしたくないですし、

周りから否定されたくもないはずで、

 

それだから女は格付けしあうんだ、

というのは話が一足飛びすぎます。

 

女性ならではの切り口で論ずるなら、

ここはもう少し客観的な根拠を提示して、

丁寧な分析をすべきかなと。

 

後にも書きますが、

そもそもこの本は、

出版社のほうから

「なぜ女同士は格付けし合うのか?」

というテーマを出されて書くことになったようなんですが、

 

そのテーマに対する結論が、

女性ならではという肝心なところでの

根拠が薄っぺらすぎて、

 

(このことも後述しますが)

文章も下手くそで、

 

説得力のあるものにはなっていませんでした。

 

残念です。

 

いまどきの大学生が、

 一年生の七月までに彼氏ができない女子のことを「残飯組」と呼んだり、

昔からお嬢様女子大として有名な「白百合、聖心、清泉」をスリーSと呼ぶとか、

そういうワイドショー的・週刊誌的なネタに対して、

「え?そうなの?」という驚きはありましたが、

 

全体を通しては、

これといって画期的な考え方も見当たらず、

明らかにタイトルと帯にやられたパターンでした。

 

ちなみに、

帯はこんな釣り文句。

 

「6千万のマンションって高くないよね?」

何気ない一言で「格付け」していませんんか? 

すべての人に知ってほしい、「女子カースト」の実態と人間関係を円滑にする最強の対処法!

 

そもそも、

「実態」といっているけれど、

著者が見聞きしたことを羅列しているだけ。

 

それから、

先にも述べましたが、

文章がものすごく下手でした。

 

一見、

ソフトな文体で、

わかりやすく書かれているように見えるのですが、

 

内実は、

脈絡がなくてわかりづらい。

 

前後がつながっておらず、

接続詞(だから / しかし / つまり …など)の使い方がおかしい。

使うべき接続詞が違っていたり、

適切なものが入っていなかったり。。。

 

たとえば、

ここには「しかし」を入れるべきなのに、

何も入っていない、

「裏をかえせば」と言っているけど、

どう裏をかえしたらそんなことが言えるのかがよくわからない、

…などなど。

 

細かいことですが、

接続詞の使い方って、

私は論文やルポでは非常に大事だと思っています。

 

道路の標識や信号と一緒。

標識の掲げ方を誤ると、

うまく車を誘導できないように、

接続詞も使い方を間違えれば、

読者はそこで立ち止まってしまったり、

ヘンな方向に行ってしまう。

 

接続詞のみならず、

言っていることもチグハグ。

 

(著者はそんなこと絶対に意図していないと思うのですが)

まるで「行間を読め」とでも言っているかのごとく、

一足飛びで論じていたりと、

もはやカオスです。

 

これでは読者が完全に路頭に迷います。

読んでいてイライラしました。

(酷評してごめんなさい!)

 

小説なら、

読者が「行間を読んで」想像する隙を与えるのも一種の技法だと思いますが、

論文では、

いかに読者を迷わすことなく結論に導くかのほうが大事なはずで、

 

そういう意味では、

本書は読者をうまく誘導できていません。

 

どうしてこんな書き方になるのか考えてみたんですが、

大きく2つあるかなと思いました。

 

①出版社の思惑で、(著者のポリシーに反する)テーマありきで書かれたこと

 

【おわりに】で著書自身、こう述べています。

 

「なぜ女同士は格付けしあうのか?」このテーマを編集者の木村やえさんにもらったとき、「困ったな」と正直思いました。私は「女同士」がいがみあう構図をあえて避け、女同士が共感力を持って協調していくポジティブな面を意識的に描いてきたからです。女同士がいがみ合う構図は、実はおもしろいし、書きがいがあるし、受ける。わかってはいるのですが、それを書くのは自分でなくてもいいのではと思っていました。

 

この「与えられたテーマ」が、

彼女のポリシー(理想)に反する内容だったせいで、

話をどこに持っていきたいのかがグラグラ。

 

ほら、

こんなところにも女同士のいがみ合いがあるんですよ

と「女子カーストの実態」を暴き、

女って怖いでしょうと言わんばかりに煽っておきながら、

一方で尊敬していると言ってしまったり。

 

アラフォーのワーキングマザーに話をしてもらうと、「大変自慢」になってしまうことが多い。周囲の理解がない、時短もない、環境が整っていない大変な時代を乗り切ってきた彼女たちを私はとても尊敬します。

 

この書き方、

なんだよ?どっちやねん!?

ってなりませんか?

 

アラフォーをバカにしてるのか、

それとも尊敬しているのか。

 

後者であれば、

「大変自慢」なんて皮肉るな!と思いますし、

逆に「大変自慢」と皮肉るなら、

接続詞をうまく使うなり、

文章を肉付けするなり工夫して、

もう少し丁寧に皮肉れ!と思うのです。

 

上記は一例ですが、

とにかく、

全体を通して軸がブレブレ。

 

「女子カースト」があることを前提に、

うまく対処すべきと話をもっていきたいのか、

それとも、

そもそも「女子カースト」自体なくすべきと言いたいのか。

 

おそらく、

言いたいことはどっちもで、

現実的には前者、

究極的には後者、

というふうに持っていきたかったんでしょうけれども、

 

そもそもの筆者のスタンスが、

「女子カースト」自体をなくすべきという後者にあるため、

そこに重きを置かれて語られてしまっていて、

 

なんだか、

「女子カーストの実態」やそれに対する対処法が、

付け焼刃的で、

ものすごく安く見えてしまう。

 

「女子カーストの実態」を描くことで、

いろいろな土壌があるから「女子カースト」が生まれるのもやむを得ない

そのときの対処法はこうです、

と読者に見せておきながら、

 

いつの間にか、

「女子カースト」なんてバカらしいから女同士仲よくなりましょう!と

論点がすり替わっているわけです。

 

前者では、

女性特有の格付けを肯定しつつ、

(解決策の1つとして)複数の足場をもちましょうと言っており、

 

後者では、

そもそも格付けなんてやめて女同士仲よくしましょうと言っている。

 

本書の狙いとして、

出版社側は前者を描いて欲しかったんでしょうけれど、

そこに著者の後者のスタンスが混じってしまった

という感が否めません。

 

そのこと自体、ダメだとは言いません。

 

むしろ、

そんなことは日常茶飯事なんだと思います。

 

でも、

これが著者の文章力や編集者の校正力で、

前者から後者にうまく読者を誘導できていれば、

何の文句もないのですが、

もはや読者は、

どっちやねん?!状態。

 

読み終わったとき、

自分だけがこんなイヤな感想を持っているのかと

若干不安になったのですが、

Amazonのレビューでも同じような感想がありました。

 

著者へのお願い。文章力をもう少し磨いて頂きたい。目次で全てが語られている。本文は冗長で散漫。

書名の吸引力で売れている。出版社の作戦勝ち。

 

まさにそのとおりだなと思いました。

 

このレビューでもあるように、

「本文が冗長で散漫」な書き方になっていて、

読者が迷ってしまう理由その2は、

 

著者が感性でモノを書いていること

 

だと思います。 

 

ああも思うし、こうも思う、

だからあれも書いておかなきゃ、これも書いておかなきゃ、

とりあえず参考文献にはこの本を出して…

 

となってしまっていて、

それを論理的に組み立てられていない。

 

わりと思いつきで書いている気がします。

それでは私のこのブログと大差ないわけで。

 

基本的には、

インタビューのみで「実態」が書かれていて、

そこを客観的に分析したり、

もうちょっと根拠を交えて、

あまり深く考察してはおらず、

それに自分の感じていること・伝えたいことを付け足した感じでした。

 

何より、

「なぜ女同士は格付けしあうのか?」の「なぜ女同士は?」の部分こそ、

もっと深く突き詰めて、

客観的に分析して欲しいですが、

著者の一方的な感覚だけで語られてしまった感があります。

 

すごく大げさに言うと、

こんな話ありますよー!

私はこう思います、

以上おわり、

…そんな書き方でした。

 

彼女をそうさせたのは、

先の①のように、

出版社の狙いと自身のポリシーが相反していたからでもあると思いますが、

 

いっそのこと 、

「女子カースト」の実態を客観的に提示して、

煽るなら煽り、

そこから現実的な解決策だけ提示すればよかったんじゃないか

と思ってしまいました。

 

著者も言うとおり、

この本を執筆するのは、

むしろ白河さんじゃないほうがよかったかもしれない。

 

客観的な根拠に欠けすぎている部分については、

Amazonのレビューにも同じようなコメントがありました。

 

定量的なデータや学術的な考察なんてモノは無い。インタビュー主体なのにインタビュー相手の素性もよくわからない。健康食品の広告なら(あくまで個人の感想で個人差があります)と書かれるレベル。

 

あれ、白河さんってこんなに根拠レスに聞きかじった話を書き散らす感じで論を展開する人だっけ?(中略)言いたいことはわかるけどもう少し丁寧な検討、緻密な議論をしないと女性についての偏った言説を煽るだけになる気がします。

 

私は、

白河さんの著書を読むのは今回初めてでしたので、

彼女が他にどのように文章を書いているのかを知りません。

 

ただ、

本書については、

なんとなくですが、

 

得意ではないけど(出版社の意向に沿って)女子カーストについて論じてみた、

結論ありきで論じたので根拠が手ぬるくなってしまった、

そんな突貫作業で執筆を進めたら、

言っていることが情緒的になってしまい(論理的ではなく)、

何が言いたいのかわからず、

結果として読者を迷わせてしまった、

 

ということになったのかと思います。

 

以上、

さんざんな辛口コメントでした。。。

 

普通はもっといいところも取り上げたいのですが、

読んでいてイライラしたので、

思いのたけをぶち明けてしまいました。

 

「ママカースト」の世界を描いた小説として、

桐野夏生さんの『ハピネス』という本が紹介されていましたが、

この本はちょっと読んでみたいです。

 

■まとめ:

・「女子カーストの実態」とあるが、著者が見聞きしたこと(インタビュー)を「女子カースト」というテーマありきで羅列しているだけにすぎない。

・「なぜ女同士は格付けしあうのか?」の「なぜ女は?」という部分が、女性ならではという肝心なところでの根拠が薄っぺらい+文章が下手くそで、説得力がなさすぎる。

・ワイドショー的・週刊誌的なネタに対する驚きはあったが、全体的にはこれといって画期的な考え方は見当たらなかった。

 

■カテゴリー:

社会学

 

■評価:

★★☆☆☆

 

▽ペーパー本は、こちら

(010)格付けしあう女たち (ポプラ新書)
 

 

Kindle本は、いまのところ出ていません